Solo Exhibition

「Metamorphose-変容- ~傷みが悦びに変わるとき~」


清水真理「Metamorphose」チラシ表

2012年6月11日[月]~6月23日[土] 

◆平日 12:00~ 19:00 金曜 12:00~20:00 土曜・日曜 12:00~ 17:00

◆入場料:500円

◆会場 : ヴァニラ画廊

◆住所 : 東京都中央区銀座6-10-10

 第2蒲田ビル4階 

◆TEL:  03-5568-1233 

http://www.vanilla-gallery.com/archives/2012/20120611.html

 

SPECIAL EVENT


●6月16日[土] 17時開場

【メフィストフェレス 船本恵太の暗黒人形アニメとファントグラム魔術ショー】

30人限定 料金:2500円 

 メフィストフェレスに扮する船本恵太氏が、当日会場で人形達の霊を呼び覚まします。19世紀末ヨーロッパの人々を驚嘆させた幻影劇場を人形アニメの上映とともに再現します。

  • 上映作品 「鏡を通り抜け、そこで少女が見たものは」他、人形アニメ作品
  • ファントグラム・・川村徹雄氏考案の、立体映像撮影・上映可能なシステム

あらゆる受難を涙とともに受容し

彼女の顔がひとすじの希望に照らされ輝く時

苦痛が限界を越える時、それは例えようのない快楽に替わる。

光の矢で心臓を射抜かれ、あまりの快感に恍惚と顔を仰け反らせる聖テレジア、信仰のために焔の中で身を捩らせるジャンヌ・ダルク。

または身体の一部の機能が機械に替わり、自由に抑制を強いられることによって、残された感覚がより鋭敏に官能的に研ぎ澄まされた義足の少女。

私は敢えて試練の道を選びながら、顔を紅潮させ自分の苦痛に酔いしれる彼女たちに、触れがたい程の気高いエロスと、息絶えんばかりの絶頂を夢見る。

羞じらいに頬染めていた清らかな柔肌の乙女達は、過剰な苦痛を盲目的に受容する時、蛹が蝶に生まれ変わるように、肉体の真の喜びを知る聖女へと変容する。

 

8年ぶりとなる写真集発売と、それを記念する新作を含む個展を開催。


◇清水真理 個展開催記念インタビュー◇

ヴァニラ画報より転載

只今ヴァニラ画廊にて個展を開催しております清水真理さんに、人形制作にまつわるあれこれや、今回の展示についてお聞き致しました。

 

―今回例えばニルヴァーナ、禁断の果実などの物語が人形の身体の中に組み込まれモチーフになっている作品が多数ありますね。そのように至った経緯を教えて下さい。

 

清水:仕事で10年ぐらい人形と衣装を制作しており、一通りドレスや着物等を制作してきました。そのうち煌びやかなお姫様とかそういうものを表現したいのとは別に、心の中を表現したいという気持ちが年々強くなってきて、それは不安だったり希望だったりその人の表情とは違う心の内を表現したいと思っていました。

 

普通は人体を開くと内蔵があって、その内臓をただの肉塊というものより、精神的な身体の中に住んでいて備わっているもう一人の存在が住んでいる体内空間みたいなものに興味をひかれて、自分の身体の内の部分の見せてみたい。開けると物語が広がっているという形で、と考えていました。

 

旧作・新作でも身体の中に精神世界があるというわかりやすい表現方法で作っていると思います。身体、そして心の中にその人の天国も地獄も快楽も全部詰まっている、そんな世界を表現したいと思っています。

 

人形作家さんでアリスやファンタジックで幻想的なものを作っている作家さんは私も含め割と多くいるのですが、新作は天国と地獄のようなより落差があるものを作りたいという気持ちがありました。

 

激しい苦痛やその反対の恍惚の気持ち、身体の中開くと天国のようなものが広がっていたり逆にとてつもない地獄が詰まっていたりとか…その全てのカタルシスを表現したいと思って制作に励みました。

 

 

―以前のフリークス作品では、人形の美しさが身体に直接表現されていましたが、今回は無理やり身体を開くと天国と地獄が広がるっているような作品が多く見受けられます。特に大きな変化はありましたか?

 

フリークスの時には開かなくても表面にあるそのままの美しさを表現していたように思うのですが、今回は顔や表面上がとても美しくて、無理やり身体を開いたときにその固体の中にあるものは何かというものを作ってみたいと思っていました。というのも、この仕事を10年ぐらいやってきて、人形という「ひとがた」の裸体というものに限界を感じたときがあったのです。たとえば極端に言うと裸体の人形を作るときに4色ぐらいしか絵の具の色を使わないんですね。もっと人の形や服装といった部分ではなくて、作品そのものを見たときにがんと強い信念みたいなものが欲しいと思っていました。そうしたらだんだんと表現方法が代わってきました。

 

 

―今回、作品のテーマには歴史上の不幸な末路を迎えた(本人にとってはそうではないのかもしれませんが)少女が多く用いられている気がします。

 

そうですね、本当は自分の好きなイタリアの聖テレジア像のようなものを、球体関節人形で作り込みたく思っていました。苦痛に酔っている、痛いけれども、痛みが快楽に変わって気持ちがハイになっちゃう美しさみたいな、運命に翻弄された薄幸の少女達の精神的快楽を表しています。変な言い方すると、聖女はみんなMみたいな(笑)突き詰めるとS聖女もたくさんいるのですが…(笑)神々しい美というものが面白いなぁと思っています。

 

 

―今回一番思い入れがある人形について教えて下さい。

 

義足の少女ですね。私は義足にとても魅力を感じます。それは体の一部が人形であるからです。その身体の一部の人形をコントロールしながら生活していくのってすごい事だと思っています。人形で表現できる世界かわかりませんが、沢山義足の勉強をして欠損した自分の殻であの一部が人形として、日々使いながら欠落部分を埋めながら生活しているのがすごいなぁと。そこに美しさを感じて制作しました。今世の中の風潮として欠損への憧れをみんなもっているのではないかと感じています。失われているものへの憧れなのでしょうか。

 

(ヴァニラ画報 / http://www.vanilla-gallery.com/vanilla-gahou/gahou/2012/06/post-67.html